後天性(加齢性)眼瞼下垂
加齢による筋力の低下や、皮膚の弛緩のほか、まぶた内の軟骨と、まぶたを持ち上げる筋肉の連結部が緩んでしまうことなどが原因で起こります。多くの場合加齢とともに徐々に下垂してきますが(加齢性眼瞼下垂)、開眼器を使った眼の手術を受けたあとや、若年層でもハードコンタクトレンズを長期装用している方にも生じてくることがあります。「眼をあけているのが疲れる、眼が細くなったようだ」という症状だけでなく「頭痛がする、首や肩がこる、慢性的に疲れている」「不眠症」などの不定愁訴を生じることがあります。 後天性の眼瞼下垂は一般に両側で起こることが多いです。
診断
力を抜いて正面を向いたときにまぶたが瞳孔(黒目の中心)の上まであがらない状態を認めた場合に後天性眼瞼下垂と診断します。ただし、日内変動(朝は調子が良いが、夕方下がってくるなど)を伴うことも多いため、病歴を聞いて総合的に判断します。
治療方法
皮膚がたるんで視野をふさいでいる場合は、皮膚切除法でその皮膚のみの切除を行います。その際ふたえのラインに傷跡が隠れるように手術をすることで早期に目立ちにくくなるようにします。
加齢性眼瞼下垂の場合は、上記に加え、緩んでいたり外れてしまっているまぶたを持ち上げる筋肉と、軟骨の付着部をもとの位置に結びなおすことでまぶたが開くようにします。(挙筋前転法)
挙筋前転法を行うことで筋肉の収縮がよく伝達され、まぶたが上がりやすくなります。両眼で約1時間、局所麻酔、日帰り手術でできます。(保険適応)
上まぶたが瞳孔にかぶさり、視野が悪くなります。
たるんでしまった上まぶたの皮膚を切除し、瞼を持ち上げる筋肉と、軟骨の付着部のゆるみを本来の位置に固定しなおします。
眼瞼下垂 10のチェックポイント
チェックが付いた項目が多いほど眼瞼下垂の可能性が高くなります。
- まぶたが重たい
- 目が小さくなった
- 額にしわがよる
- 頭痛がする
- 首・肩がこる
- 眼精疲労がある
- 光がまぶしい
- 逆まつ毛になった
- 慢性的にすっきりしない(慢性疲労)
- ハードコンタクトレンズを長期使用している
手術を受けられる方へ
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眼瞼下垂の手術の予約の患者様は、手術予定時間の30分前までに当院へお越しください。
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手術当日の昼食はいつも通りお召し上がりください。
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お化粧はしないでご来院ください。
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手術後は院内で約30分安静にし、患部を冷やしてから帰宅して頂きます。
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ガーゼで視界が悪くなるので車の運転はできません。公共機関で来院される方もできるだけ付き添いの方と一緒に来院してください。
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手術時間に遅れて来院された場合、次の手術予約と重なるため、手術ができない場合があります。あらかじめご了承ください。
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抜糸は、指示された日程を守ってご来院ください。予定の日程を過ぎますと、糸の跡が残りやすくなります。
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当院はクレジットカードの扱いはありません。
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医療費領収書、明細書、手術承諾書等の書類は再発行ができませんので大切に保管してください。
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診断書の記入をご希望の方は手術日に書類をお預かりいたします。(1通3,750円)作成に1週間程度お時間を頂いております。遠方からのご来院の方はご郵送も承ります。(郵送費別途)
よくあるご質問
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初診から手術、治療終了までの流れを教えてください。
初診→手術→5~7日後抜糸→2か月後の診療で終了
初診日
手術適応と診断がありましたら、手術内容の説明、手術日程の決定、必要に応じ術前採血を行います。
手術日
手術時間は約1時間です。術後は30分程度院内でお休みになってから帰宅して頂きます。手術当日は車の運転はできません。送迎の方と一緒に来院されるか、公共機関をご利用になられますようお願いします。
手術翌日
運動は控えて安静にお過ごしください。
抜糸
手術日から5~7日後に抜糸を行います。紹介状持参で遠方からご来院された方でご希望される方は、紹介元医療機関で抜糸を受けて頂くことも可能です。
その後
2カ月後に経過観察のためご来院いただき、異常がなければ終診となります。
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手術は痛いですか?
なるべく痛みを感じないよう、手術の初めにゆっくりと麻酔を注射していきます。
手術の際中は痛みを感じることはほとんどありませんが、痛みを感じた場合、麻酔を追加するのでご遠慮なく医師、看護師にお伝えください。手術後、帰宅してからは痛み止めの薬を、一回飲む人が5割ほど、一回も飲まなくて大丈夫な人が2割ほど、二回飲む人が3割くらいです。
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眼瞼下垂症手術後はどのくらい腫れますか?
非常に個人差が大きいですが、2~3日は腫れると思っていてください。
術後の腫れや内出血は非常に個人差があります。高齢の方、血液がサラサラになる薬を服用中の方は比較的、腫れや内出血が多い傾向にあります。
内出血が起こった場合、術後1週間くらいで青紫色から黄色に変化していきながら、さらに1週間ほどかけて徐々に吸収されていきます。術後1カ月ぐらいは何らかの症状が残る場合が多いので、大切な行事や写真を撮る機会がある方は手術日程を決める際にご相談ください。
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手術後、家で普通に生活できますか?
手術日当日は安静に、翌日からは普通の生活に。
手術当日は、血圧があがるような行為(運動、入浴だけでなく、大笑いしたり、大きなくしゃみをするなど)を避け安静に過ごしてください。テレビを見たり、スマートフォンの操作をすることも避けたほうが良いでしょう。
手術翌日からは、寝てばかりいると血行がわるくなり、腫れが長引く要因となる場合があります。過度な運動は控えつつ、通常通りの生活を送ることが大切です。
入浴・洗髪・洗顔などは、術後翌日からいずれも可能です。手術当日は、お風呂で温まり血流がよくなって出血しやすくなるので控えていただきますが、翌日からは、傷口を清潔に保つことが大切です。縫合部分を強くこすることがないように、優しく洗顔してください。また洗髪は、頭を上げて髪の毛を後ろに流す要領で行うのが良いでしょう。